バーカウンターの男女
カラン・・・・クルクルクル・・・・・
ウィスキーグラスに氷の当たる音がして、透明な丸い球体と琥珀色の液体がゆっくりと混ざり合う。
特に何を見るでもなく、バックバーを見て、ぼーっとしている。
最近はやたらと騒がしいバーが多くなった。いや、そういうバーにしか巡り合えていないのかもしれない。
やたらと話しかけてくるバーテン。時にはギャンブルの話、時には下世話な性の話。
先日いいな、と思って入ったバーはひどくて、落ち着いたお店の中でバーテンが売りである手品を見せながら、
その口上の中でストレートな下ネタをバンバン言っていた。
キャバクラなら許されるのかもしれないその内容は、落ち着いた雰囲気を謳うそのバーには不釣り合いで、
ちょっとした不快感しか感じなかった。
ゆっくり飲みたいときや、話し込みたい相手と訪れたいときに、こんな店は使うことが出来ない。
そんな店にいるのはバーテンダーではなく、バーテンである。
どこかって?
それはグルメサイトに載っています。
適当にそんなことを考えながらウィスキーを飲んでいると、女性が一人でバーに入ってきた。
時間は日曜日の夜10時。
女性が一人で入ってくるのは珍しいことではないから気にしないけど、店内の客層によっては興味の対象となる。
バーのカウンターでのナンパ。
その対象となるから。
ぼくがカウンターの左端に座り、彼女は席を一つ開けて隣に座った。
彼女の一つか二つ隣には、男性が座っていた。
日曜の夜にバーへ来た彼女は、見知らぬ男に挟まれて酒を飲むことになる。
つづきます。